(完)嘘で溢れた恋に涙する
それまでと同じように正門で車から降ろしてもらって、他の車通学の人たちと同じように校舎へ向かった。




そばでヒソヒソと囁く声が聞こえ、遠慮のない視線をぶつけられているのを感じたけれど気にしなかった。




久しぶりに学校に来たんだもん、仕方ないって。





校舎に入って、自分の靴を履き替えようと、靴箱を開けた。




開いた瞬間、それまで必死で閉じていたかのように中のものが一気に飛び出してきた。




慌てて、床にしゃがみこんでそれらを見た。




『死ね!悪魔の娘!』



『殺人鬼!』



『学校が汚れる』




思い出したくもない色んな言葉がぐちゃぐちゃの紙に書かれていた。




私の靴箱はゴミ箱のようになっていた。




「なん…で」




当たり前の結果だと言われるかもしれないけど、私にとっては純粋な疑問だった。




なぜ、私がこんなことを書かれなくてはいけないのか。




もちろん、それまで家にはたくさんのいたずら電話や落書きの被害を受けていた。




だけどそれは全てお父さんに対してのもので私たち家族には一切関係ないと思っていた。




私は人を殺していないし、誰も傷つけていない。




むしろ、私も被害者だ。




なのにどうしてと、しばらく立ち尽くしていた。




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