(完)嘘で溢れた恋に涙する
溶け込みたいっていうのは全くの嘘だ。


溶け込む気は無い。


だけどそう言うしかない。


理玖はまたそれをしばらく見つめてからこっちに顔を見せてオッケーと口を動かした。


そのまま理玖の視線は黒板に移り、ほっとして肩の力が抜ける。



私も授業に集中しようとしたけど、なぜかあまり先生の話が頭に入ってこない。



ぼんやりと隣に座る理玖を横目でチラリと見た。



綺麗な顔立ちだなって率直に思う。



シャープな顎のライン。

吹き出物1つない、すべすべの肌は健康的に日焼けしている。

少しつり目がちな目は、奥二重で、まつ毛はきっと私より多いし、長いな。
瞳は吸い込まれそうなくらい真っ黒。


顔立ちもルックスも無駄な部分が1つもない。


その上、真意はわからないけど、表面だけをみていると底抜けに明るい性格みたい。


クラスの人気者であることはすぐわかる。


だけど、それが怖い。


どうしてこんなに明るく振る舞えるの。


全て奪われて、理不尽に傷つけられて、私は想像の中で彼は憎しみに囚われて動けなくなっているんじゃないかって思ってたのに。


陸玖は周りと変わらない、影なんか一切見せない笑顔を浮かべてる。


私に知る資格なんてないけれど、この人の心の中を覗きたい。


疑う余地もない笑顔の裏で、あなたは今何を考えてるの。


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