(完)嘘で溢れた恋に涙する
『一生恨んでやるから!!』



見たこともない剣幕で私を怒鳴りつけた凛花ちゃんの表情が鮮明に思い出される。



ああそうだ。



凛花ちゃんは私のお父さんが起こした事件の被害者だった。



なんて私は浅はかだったんだろう。



それまでの自分を反省して、改めればそれでいいのだと思い込んでいた。



考えもしなかった。



というか、知ろうともしなかった。



あの事件で苦しんでいる人が他にもいること。



私はもっともっともっと事件に向き合って、真実から目を背けず、贖罪のために何ができるか、被害者の人たちが何を望むのか考えなければいけなかった。



私は一体何に反省したつもりで満足していたんだろう。



何もわかっていなかったのに。



いや、そもそも私は大きな間違いをしていたんだ。



凛花ちゃんが、被害者の人たちが望んでいるのは、私が過ちを認めることじゃなく、罪を反省し変わることでもなく、




きっと、私が一生苦しみながら生きていくことだけだ。



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