(完)嘘で溢れた恋に涙する
『私は知らなきゃいけないの。
お願いだから教えて。
誰かを傷つけてしまったのなら私は謝らなきゃいけない』



殴り書きのように書き込むが、お母さんは首を振った。



生まれて初めてのお母さんからの拒否だった。



驚いたのもつかの間。



「もういいでしょう。もうちょっと入院しなくちゃいけないらしいから、お母さん由姫の着替えとってくるね」



お母さんはそうやって無理やり話を変えて、そのまま出て行ってしまった。




しばらくそのままお母さんが出て行ったドアの方を見つめていたけど、とりあえず今できることをやろうと思い立った。



私は混乱していて、思い出せないだけかもしれないし、頭の中を整理してみればいいんだ。



そして、あの日の出来事を頭の中で一つ一つ思い出して組み直して行くが、期待通りにはいかなかった。



やっぱり私の中にはあれだけの記憶しか残っていない。



実際その後に何もなかったと考えるのが一番手っ取り早い方法だが、



それはどう考えてもおかしい。



< 181 / 381 >

この作品をシェア

pagetop