(完)嘘で溢れた恋に涙する
その後退院した私はまずクラスメイトたちの家にお母さんと一緒に謝罪して回った。



自らの声で謝罪の言葉を口にすることができないので、全員分の謝罪の意味を込めた手紙を認め、それを携えて出向いた。



もちろんクラスメイトに会う前にその親たちから玄関先で拒否され、罵倒の限りを受けたが、それでも諦めるわけにはいかなかった。



どうしても自分の犯した罪を認め、謝罪したかった。



それでも最終的に警察を呼ぶぞと脅されて、大人しく引き下がるのがほとんどだった。



その場合は手紙を無理やり渡して、目の前でそれをビリビリに破られようが頭を下げ続けた。




しかし中には渋々家の中に通してくれる家庭もあった。



親に呼ばれて私の前に恐る恐る出てきたかつてのクラスメイトは完全に怯えの色が瞳に浮かんでいて、私と目を合わせようとしなかった。



お父さんとお母さんに両端から支えられ、守られて私のお母さんの謝罪や私の手紙を受け取ってくれた。



手紙はその場では読まれなかったが、家に入って数分後には追い出されていた。



そして、肝心の凛花ちゃんの家では凛花ちゃんのお父さんが快く家に招き入れてくれた。



このお父さんには何か他に目的があるんじゃないかと汚い疑いを向けてしまうほどに他の家庭とは違う態度だった。



凛花ちゃんのお母さんもお茶を出してくれて、凛花ちゃんを呼びに行ってくれた。



凛花ちゃんへの手紙は私なりに最も気持ちを込めて書いた手紙だった。



許してもらおうなんて鼻から考えていない。



ただ私は自分の決意を凛花ちゃんに知っていて欲しかった。



『私はもう笑ったり、泣いたりしない。あなたが望むように生きていくから』



と。



しかし、凛花ちゃんは頑として私の前には現れず結局手紙だけを置いて帰ってきた。



あの手紙が読まれたかどうかは今もわからない。



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