(完)嘘で溢れた恋に涙する
それから、私は市内のフリースクールのようなところに通い、中学に上がると同時に引っ越した。



違う土地で中学生となった。



おじいちゃんとおばあちゃんは必死で止めようとしてくれたが、お母さんの覚悟が硬かった。



もう一度私のことを何も知らない学校で一からやり直させたかったんだろう。



だけど、残念ながらそう上手くはいかなかった。



私は誰とも関わらず、孤独を徹していた。



周りも初めこそ私に興味を持っていたが、根暗を貫いた私はしばらくすると空気と一体化していた。



さすがに自分から自分は犯罪者の娘だとカミングアウトすることはしなかった。



お母さんに迷惑をかけることがわかりきっていたからだ。



しかし、インターネットが急速に普及するこのご時世、犯罪者の家族が何もなかったようにのうのうと生活できるわけがない。



2ヶ月ほどしてすぐに噂は広まり、それが真実であることがバレた。



それまで私に見向きもしなかったクラスメイトたちから凄惨ないじめを受けた。



言葉の暴力など甘いもんだった。



次第に私物を取られ、捨てられ、暴力が日常的になった。



まあ、これこそ正しい待遇だと判断した私は泣きもせずその現実に耐えていた。



しかし半年ほどしたところで、お母さんが気づいた。



あれやこれやという間に転校が決まり、新しい中学校で新しく生活を始めた。



しかし、同じような結果だった。



前とは違って気づかれるまでに半年ほどかかったが、予想通り前と同じ扱いを受けた。



しかし、私は頑なにお母さんに気づかれることを避けた。



いじめっ子たちは見えることを殴ったりはしなかったので、助かった。



一年後には私は上履きやほとんどの教科書、筆箱の中身も無くなった状態で学校生活を送っていた。



その時期にたまたま私が忘れ物をしてお母さんが学校に届けにきて、現状に気づかれた。



そして、三度目の正直というか、お母さんの遠い親戚が済むというあの島の学校への転校が決まった。



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