(完)嘘で溢れた恋に涙する
また同じような結果が待っているんだろうと諦めていた。



むしろいじめられることが最も正しい償いである気がしてそれを恐れる気持ちはなかった。



しかし、予想外の出来事が起きたのだ。



お父さんが殺した2人の忘れ形見の少年がその島で暮らしていた。



みんなから人気者の彼が彼であることはすぐにわかった。



だけど、とても理不尽な事故で大切な家族を失った少年とは思えぬほど明るく元気な少年であることに驚きを隠せなかった。



実は名前が同姓同名の、別人なんじゃないかとも思った。



だけど、あの少年のことを別にしても、私はこの島で調子に乗りすぎた。



口のきけないつまらない私に飽きず優しい言葉をかけてくれる人たちに囲まれて、もういいんじゃないかなんて考えてしまった。


もう許されてもいいんじゃないかなんて。



何を勘違いしていたんだ。



罪は消えない。



一生消えない刻印として私の胸に刻み込まなきゃいけないんだ。



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