(完)嘘で溢れた恋に涙する
「それからね、由姫さっきも言いよったけど、うち確かに陸玖のこと好きやったと思う」



その言葉にハッと顔を上げて美結の顔を見る。



美結は吹っ切れたようなさっぱりした顔をしていたが、美結に少しでも陸玖への気持ちがあるのならやっぱり私といるのはやめてほしい。



私と一緒にいることは同時に陸玖との決別を表してるから。



「でもちょっと違うかな。
うちさ、お姉ちゃんが死んでから、お姉ちゃんみたいに生きるって決めとってさ。
元々うち人見知りで引っ込み思案な性格やったんやけど、お姉ちゃんみたいに明るくて誰にでも愛される人になろうって思って必死に頑張ってた。
そんな中、陸玖が転校してきて、とても過去にそんなことがあったなんて感じさせないくらい一気にクラスの中心になっちゃって。
憧れ、やったんかな。
あんな風になりたいってそう思って、それがいつのまにか好きに変わってたのかも。

でもいいの。
ちゃんとうち考えてきたもん。
この4日間どっちを選ぶか。
けど、何でかわからんけどさ、やっぱうちは由姫と居たいって思ったと。
やから由姫は気にすること全くないけん」



そうやって笑う美結には迷っているような印象は全く感じなかった。



私が休んで、4日間自分がこれからどうやって生きていくか考えている間、美結も考えていてくれたんだ。



私はこの子にどうやって恩を返せばいいんだろう。



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