(完)嘘で溢れた恋に涙する
言い返したものの、私の顔が暗くなっていることは間違いではなく、透はしつこく問いただしてきた。


「ほら言ってみなよ。俺って案外聞き上手だよ?」


「別に透には関係ないし…」



素っ気なく言うと、透は大げさに手を両手にあげてため息をついた。



「俺はこんなんだけど割と本気で心配してるんだけど。そうやって由姫ちゃんはいつも美結ちゃん以外は自分の世界から追い出すようにしてるけどさ、それって由姫ちゃんと仲良くなりたい人のこと傷つけてるんだからね?」



透はあまり見ない真面目な表情で私に言い聞かせるようにしてそう話したが、突然切り替わったように笑顔を顔に貼り付けて私の手を握った。



「ごめん、言いすぎた。とりあえずゼリーとか買いにいこ」



それだけ言って私の手を引っ張り、慣れたように歩いて行った。




私はそんな風に思われていたのか。


透に引っ張られながら、私は愕然としていた。





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