(完)嘘で溢れた恋に涙する
「それは無理」


笑いながら言い返すと、透はその答えを待っていたとでも言うように口元をあげた。


「じゃ、買いに行くか」


透が自分の膝をポンっと叩いて立ち上がった。


その言葉で、元々美結のための差し入れを買いに来たことを思い出した。


「あとさ、私ずっと美結にお世話になりっぱなしだから何か渡したいの。
お金はあんまりないけど…
だから一緒に探すの手伝ってくれない?」


さっき関係ないという言葉で飲み込んだセリフを今ならすらすらと口にすることができる。


透も満面の笑みを浮かべて大きく頷いてくれた。


まずは一緒にスポーツ飲料やゼリーを買いに行った。


スポーツなんてやったことない私には何が良くて何が悪いのかなんてさっぱりで、結局支払い以外は透任せだった。


その後、色んな店を渡り歩いて、プレゼントを探し求めた。


5軒目の雑貨屋で私が目を止めたのは明るいオレンジ色の無地のスポーツタオルだった。


思わず手にとってみると、近くで別の物を眺めていた透が近づいてきて覗き込んできた。


「いいんじゃない、吸水性もあるって書いてあるし」


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