(完)嘘で溢れた恋に涙する
「じゃあ始まった頃に着くくらいだな」


「うん」


返事をしながら、美結からもらっていた試合表のコピーを広げた。


「お、美結ちゃんどこ?」


隣から透が興味ありげに覗き込んできて、私は印をつけていた美結の名前を指差した。


「相手強いの?」


「美結は余裕って言ってた」


「へ〜。美結ちゃん強いんだろ?」


「うん、1年生なのに団体戦にもエントリーされるってあんまりないんだって」


「ふーん、すごいな」


「透も見習ったら?」


「おいおい、言っとくけど俺はやればできる子なんだぜ?」


「…」


「無視はやめようよ。ほら俺ここ3日間ちゃんと部活でてんじゃん」


「もちろんこれからも続けるんだよね」


「…も、もちろん」


そんな軽口を言い合っているうちにあっという間に試合会場に着いた。


試合会場はバドミントン部が全国レベルの強豪という私立高校。


数年前に建て替えられたという体育館はすごく大きくて、綺麗だった。



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