(完)嘘で溢れた恋に涙する
腰のあたりまで伸びていた髪が、肩の辺りまで切り揃えられていたが、それ以外は何も変わっていなかった。


白すぎる肌に、くっきりとした顔立ち


そして何より真っ赤な唇。


それは俺がこの世で2番目に恨む人間だった。


島田がほうっと息を吐きながら顔を赤くして見ているその美しすぎる外見は何も変わっていない。


あの時のままだ。


だけど由姫の手は男に引っ張られていた。


島田の言う通り、整った顔立ちの男だった。


中性的な顔立ちで、手足は長くスタイルはよく、周りの目を引いているのは明らかだった。


2人が2人とも美しすぎるせいで、そこの空気はどこか違って見える。


そんな2人を見ていたら俺の心にふつふつと怒りが湧いてきた。


必死で抑えていた憎しみが再燃し、2人がどこかへ行ってしまった後でもそれは消えはしなかった。



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