(完)嘘で溢れた恋に涙する
気づいた時には、俺は2人が歩いて行った方へ歩き出していた。


しかし島田が動揺したように、俺の肩を掴んできた。


「お、お前追いかけんのか?それはやべえよ。確かにお前の顔ならあの彼氏にも勝てるかもしんないけど」


「お前と一緒にすんな。俺由姫と、あの女と知り合いなんだよ。島が一緒で。だからちょっと話してくる」


島田に怒りをぶつけてしまわないように、何とか平常心を保ちそう伝えた。


しかし、そう言うと島田は驚きながらも、嬉しそうにこう言った。


「本当か?じゃあ俺も連れてってくれよ。俺もあんな美少女と喋りたい」


こいつに付いてこられたくはない。


純粋なこいつに汚いところを見せたくない。


こいつの中では由姫をただの美少女のままで終わらせたい。


「ちょっと込み入った話なんだよ。すぐ戻ってくっから。なんならその時由姫を連れてきてもいいし」


そう言ってなんとか付いてこないように仕向けると、島田は不満そうに口を尖らせてしばらくぶつぶつ言っていたが承諾した。



「絶対連れてこいよ?」


「ああ」


残念ながら島田の願いには答えられない。


また俺は約束を破ってしまうだろう。


そう思いながら俺は島田を置いて、階段を上がって行った。


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