(完)嘘で溢れた恋に涙する
まだ何か言ってやりたかったが、それは思いもよらぬ相手に遮られてしまった。


「あんたなんしよると」


急に横から現れ俺と由姫の間に立ち、悲しそうに俺を見つめたのは美結だった。


「美結…」


そこでやっと理解した。


由姫がここにいた理由を。


美結の応援だろう。


美結がバドミントン部に入ったというのは風の噂で聞いていた。


「ちょっとこっち来て!」


美結は俺を由姫から遠ざけるように無理やり腕を掴みどこかへ引っ張って行った。


美結にはどうしても負い目があるため、逆らえなかった。


最後に俺の目が捉えた由姫は静かに泣いていた。


それがどうしようもなく俺の目に焼き付いて離れなかった。



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