(完)嘘で溢れた恋に涙する
「どうしてあんなこと」
美結が急にポツリと俺に問いかけてきた。
「久しぶりにあいつの顔見たら…あいつが男といて、もう事件のことなんか忘れたんだろうなとか考えてしまって」
改めて言われてみればたしかに俺は何に腹を立てていたんだろう。
あれだけ怒りが湧き起こっていたのに、言葉にしてみればあいつが男といたことだけが悔しかったみたいなそんな言い方じゃないか。
確かにあいつはあの男と手を繋いでて、仲よさそうに寄り添いあっていたけど、別にあの事件を忘れ去ってしまったかのように振舞っているのを見たわけじゃない。
俺があそこまで怒りをあらわにするほどのことじゃなかった。
いつもの俺ならたとえあの姿を見てもグッと堪えて我慢できたはずだ。
今日の俺がどこかおかしかったのか。
そんな風に疑問を感じていると、美結は少し言いにくそうに口をもごもごさせながら話し出した。
「うち、ずっと思いよったんやけどさ、あんた本当は、本当に由姫のことが好きやったんやないと?
嘘やったって、由姫に復讐するための嘘やったってあんたは言ったけど。
必死で自分に嘘ばつきよったんやないと」
美結が言ったのは衝撃的な言葉だった。
俺はあまり内容が飲み込めず、しばらく口をあんぐりと開けて美結を見つめていた。
しかしだんだん美結が何を言いたいのかが理解できた。
「な、何言ってんだよ。んなわけないだろ。俺の家族を殺した男の娘だぞ?好きになるわけねえだろ」
「なんでそんなに必死に否定すると。きっとあんたは本当に違うんやったら、冷静に一言で否定するはず。うちの言葉を相手にもせんはず」
「だから違うっつってんだろ!?」
俺の性格を見極めているとでも言うように話す美結に思わず怒鳴り付けてしまった。
周りの人たちが驚いたように俺たちに一斉に目を向ける。
それでも、美結は臆することなく俺に向かって落ち着いた声で話した。
「あんたがうちに謝ってきた時言ったよね。昔、うちお姉ちゃんが自殺したって。うちね、本気でお姉ちゃんをいじめたやつらを1人残らず殺してやろうって思ったと」
美結が急にポツリと俺に問いかけてきた。
「久しぶりにあいつの顔見たら…あいつが男といて、もう事件のことなんか忘れたんだろうなとか考えてしまって」
改めて言われてみればたしかに俺は何に腹を立てていたんだろう。
あれだけ怒りが湧き起こっていたのに、言葉にしてみればあいつが男といたことだけが悔しかったみたいなそんな言い方じゃないか。
確かにあいつはあの男と手を繋いでて、仲よさそうに寄り添いあっていたけど、別にあの事件を忘れ去ってしまったかのように振舞っているのを見たわけじゃない。
俺があそこまで怒りをあらわにするほどのことじゃなかった。
いつもの俺ならたとえあの姿を見てもグッと堪えて我慢できたはずだ。
今日の俺がどこかおかしかったのか。
そんな風に疑問を感じていると、美結は少し言いにくそうに口をもごもごさせながら話し出した。
「うち、ずっと思いよったんやけどさ、あんた本当は、本当に由姫のことが好きやったんやないと?
嘘やったって、由姫に復讐するための嘘やったってあんたは言ったけど。
必死で自分に嘘ばつきよったんやないと」
美結が言ったのは衝撃的な言葉だった。
俺はあまり内容が飲み込めず、しばらく口をあんぐりと開けて美結を見つめていた。
しかしだんだん美結が何を言いたいのかが理解できた。
「な、何言ってんだよ。んなわけないだろ。俺の家族を殺した男の娘だぞ?好きになるわけねえだろ」
「なんでそんなに必死に否定すると。きっとあんたは本当に違うんやったら、冷静に一言で否定するはず。うちの言葉を相手にもせんはず」
「だから違うっつってんだろ!?」
俺の性格を見極めているとでも言うように話す美結に思わず怒鳴り付けてしまった。
周りの人たちが驚いたように俺たちに一斉に目を向ける。
それでも、美結は臆することなく俺に向かって落ち着いた声で話した。
「あんたがうちに謝ってきた時言ったよね。昔、うちお姉ちゃんが自殺したって。うちね、本気でお姉ちゃんをいじめたやつらを1人残らず殺してやろうって思ったと」