(完)嘘で溢れた恋に涙する
そんな俺の背中をバシッと叩いてじいちゃんは豪快に笑いながら言った。


「もうよか。
お前が幸せならそれでよかけん。
じいちゃんたちに会いたくないならもう会わなくてもいい、この島が嫌なら帰ってこなかったっていい。
お前がどこかで幸せに生きてくれたらそれだけでじいちゃんたちは十分だ」


じいちゃんのその直球の言葉に思わず反論してしまいたくなった。


会いたくなくなるわけがない。


それにこの島を嫌いになるはずない。


俺にとってこの島は何より大切な場所なんだから。



「もうお前が生きたいように生きればよか。
周りのことなんて気にせんでいい」


だけど、俺は今ここでうだうだと喋るよりもやらなきゃいけないことがある。


力強く頷いて見せて、すぐに走り出した。


さっき来たばかりの港に向かって全力で走る。


会いたい。


会って謝りたい。


あの時ぶつけた酷い言葉を、許してもらえるかはわからないけどとにかく謝らないと始まらないから。


そしてありがとうと伝えたい。


あの花畑を作ってくれたことに。


そして好きだと大きな声で言いたい。


俺は幸せになりたいから、幸せにならなきゃいけないから。


だからあいつに、由姫に会いたい。




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