(完)嘘で溢れた恋に涙する
サッカーでもこんなに全力で走ったことがないってくらい、もうこのまま死んでしまうんじゃないかってくらい走ってなんとか昼の便に間に合った。


本土とこの島を結ぶ船は1日朝、昼、晩の3回のみだからこれを逃していたら夜までここで待つことになっていた。


船に飛び乗ると、スマホで由姫の高校の住所を調べた。


今日は祝日だし、学校にいる可能性は限りなく低いけど下宿先の住所がわからないからどうにもならない。


調べると、由姫の高校までは港から電車に乗って約1時間だった。


今日のうちに会えるだろうかと不安になりながらも、俺ができることは信じることだけだと祈り続ける。


別に今日じゃなくてもいいだろうと言われるかもしれないが、俺はどうしても今日言いたい。


このはやる気持ちを抑えられるわけがない。


船に乗っている時間がいつもの倍にも感じられたが、なんとか無事本土に着き、電車に飛び乗った。


電車での移動時間も船の時と同じように長ったらしく感じたが我慢した。




ふと目の前の座席を見ると、カップルが2人揃って寝ていた。


彼氏が彼女を守るようにその肩を抱いて自分の方に寄せている。


俺もなれるだろうか。


未だに世間の目に苦しめられているであろう由姫を守れる男に。


誰よりも由姫を傷つけていた俺が何をおこがましいと言われるだろうけど。


それでも俺は俺の力で由姫を守りたい。


心からそう思うんだ。




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