(完)嘘で溢れた恋に涙する
千日紅
夕方の誰もいない教室は少し薄気味悪かった。
連休最終日の午後になって、課題を1つ学校に忘れてきたのに気づき慌てて取りに行ったけど、早くここを出たくてうずうずしていた。
学校って人がいないとここまで静かなものなんだ。
知らなかった。
早歩きで教室まで行って借りてきた鍵で開けて、自分の席から課題を見つけると思わずほっとしてしまった。
課題1つくらいにそこまで本気にならなくても、と普通科の人たちには馬鹿にされるかもしれない。
だけど、私は特進科から落ちるわけにはいかないから、こういう提出物にも気を抜けない。
帰ったらすぐにこれを終わらせなきゃ。
そう決めて、教室を出た。
職員室で借りた鍵を返して、学校から出て正門の方は歩いていくとグラウンドが横に見える。
グラウンドからはあまり気合の入っていない、弱々しい掛け声が聞こえてくる。
奴に見つからないようにしないと。
そう考えていた時だった。
「おおーい、由姫ーー!!」
グラウンドの真ん中の辺りから馬鹿でかい声で私の名前を呼ぶ声が聞こえて、思わず重いため息を漏らした。
透だ。
透は一目散にこっちまで駆けてきて、私を手招きした。
フェンス越しに透に近寄ると、顔中に泥をつけた透が白い歯を見せてニカっと笑った。
「慣れない練習はどう?」
「ああ、そんなもん俺は楽勝だって〜。
言ったろ?俺はやればできる男だから!」
「はいはい」
首をすくめながら目の前の透を呆れ顔で見つめ返した。
連休最終日の午後になって、課題を1つ学校に忘れてきたのに気づき慌てて取りに行ったけど、早くここを出たくてうずうずしていた。
学校って人がいないとここまで静かなものなんだ。
知らなかった。
早歩きで教室まで行って借りてきた鍵で開けて、自分の席から課題を見つけると思わずほっとしてしまった。
課題1つくらいにそこまで本気にならなくても、と普通科の人たちには馬鹿にされるかもしれない。
だけど、私は特進科から落ちるわけにはいかないから、こういう提出物にも気を抜けない。
帰ったらすぐにこれを終わらせなきゃ。
そう決めて、教室を出た。
職員室で借りた鍵を返して、学校から出て正門の方は歩いていくとグラウンドが横に見える。
グラウンドからはあまり気合の入っていない、弱々しい掛け声が聞こえてくる。
奴に見つからないようにしないと。
そう考えていた時だった。
「おおーい、由姫ーー!!」
グラウンドの真ん中の辺りから馬鹿でかい声で私の名前を呼ぶ声が聞こえて、思わず重いため息を漏らした。
透だ。
透は一目散にこっちまで駆けてきて、私を手招きした。
フェンス越しに透に近寄ると、顔中に泥をつけた透が白い歯を見せてニカっと笑った。
「慣れない練習はどう?」
「ああ、そんなもん俺は楽勝だって〜。
言ったろ?俺はやればできる男だから!」
「はいはい」
首をすくめながら目の前の透を呆れ顔で見つめ返した。