(完)嘘で溢れた恋に涙する
「あんま詷子乗んなよ。くそ女あ」


突然口調を変え鋭い眼光で私を見つめる金髪男に、思わず身震いしてしまったのは認めるが、憶するものか。


私は何をされたって文句を言うつもりはなかったけど、まるでそれが私にとっての恐怖のように言われたら黙っていられない。


「所詮あんたたちの言うように、私はどうしようもない男のどうしようもない娘だよ。
好きにすれば?
そんな私がピッタリなくらいあんたたちもどうしようもないみたいだし」


言ってやった。


これで逆上されて殺されたって私は満足だ。


予想どおり数名が激昂して私になぐりかかろうとしてきて、痛みを次に感じたのは頭だった。


しばらく状況を理解できなかったが、地面に顔を強いカでぐりぐりと押し付けられ痛みの正体がわかった。


上から足で頭を踏みつけられたのだ。


踏みつけられたのはたぶん金髪男だ。


腹にくらったのと同じくらいの痛みについ涙がこみ上げたが必死でこらえた。


顔を押さえ付けられているから見えはしないが、他の男から体を欧られたり、無遠慮に体を触られているのがわかる。


気持ち悪い。


逃げ出したい。




誰か助けて。なんて、馬鹿だよね。




誰も助けてくれるわけがないのに。



髪を掴まれ無理やり上を向かされた。


目の前の金髪男が口角を上げて私を見る。


「お前の顔が今から苦痛に歪むのが楽しみだよ」


もう何も反論はしなかった。


金髪男が次の瞬間右手の拳を振り上げた。


殴られる。


そう確信して、思わず目をつぶった。



< 343 / 381 >

この作品をシェア

pagetop