(完)嘘で溢れた恋に涙する
透と陸玖
「由姫ーーーー!」
部屋の外から聞こえる私の名前を呼ぶ声と、ドアを叩く音でハッと目が覚めた。
気づけばさっきまで見ていた時計の針は大きく動いていて、目の前に広がっている課題がそのままになっている。
課題をしながら寝てしまっていたみたいだ。
あの月曜日から5日が経った。
今日は土曜日で、朝から特に用事もなかった私はいつも通り、多い課題を片付けていた。
だけど、どうやらあの日からよく眠れていないせいで疲れがたまって、机にうつぶせの状態で深い眠りに落ちていたようだ。
溜息をついて、机を立ちドアを開けて外の人物が誰か確かめた。
「なんで3階にいるの、透」
予想はついていたが、そこにいたのは透だった。
女子の部屋しかないこの3階には男子は立ち入り禁止となっている。
「見つかってないんだから、気にしない!それよりどっかでかけようぜ」
へらへらと笑いながら小声で誘われるが、私は眉をひそめて普通の大きさの声で返した。
「いや、私が気にするんだけど。部活は?」
さっきの時計では午後2時を指していたはず。
今日は他校初めてのと練習試合だとか言ってなかったっけ?
なんでこの時間に普通にここにいるんだ。
「ああ、ぼろ負けすぎて、みんなやる気なくしちゃって。
これ以上やったら部員いなくなるなって思って午前中だけで終わらせてきた」
けろっとした様子で答える透にあきれ返る。
「初めてなんだから、それが当たり前でしょ。
試合じゃなくても練習とかしてくればよかったのに」
「まあこの俺は1点決めてきたんだけどな。
だって最近俺らまじで頑張って来たし、ここらで一息入れるべきでしょ。
っつーことで俺の息抜きに付き合って?」
1点決めたとは驚きだ。
まあ自分でもよく言ってるけど、透は要領だけはいいから大抵のことは余裕の表情でこなすし、サッカーに関してもコツさえつかめば簡単にできてしまうんだろう。
本気になればけっこういい選手になれるのかもしれない。
だけど、それとこれとは別の話だ。
透の息抜きにわざわざ私が付き合ってあげる義理はない。
「それはおめでと。けど、私は課題あるから無理」
簡潔にそれだけ伝えてドアを閉めようとするけど、当たり前だが透は引き下がらない。
私が閉めようとしたドアの隙間に無理やり手をねじ込んで力で閉めさせない。
「由姫も最近気張りすぎてんだろ。そろそろ休憩挟もーよ」
私の部屋の中の机に広がる教科書や参考書たちにちらりと目を向けそう言い張る。
部屋の外から聞こえる私の名前を呼ぶ声と、ドアを叩く音でハッと目が覚めた。
気づけばさっきまで見ていた時計の針は大きく動いていて、目の前に広がっている課題がそのままになっている。
課題をしながら寝てしまっていたみたいだ。
あの月曜日から5日が経った。
今日は土曜日で、朝から特に用事もなかった私はいつも通り、多い課題を片付けていた。
だけど、どうやらあの日からよく眠れていないせいで疲れがたまって、机にうつぶせの状態で深い眠りに落ちていたようだ。
溜息をついて、机を立ちドアを開けて外の人物が誰か確かめた。
「なんで3階にいるの、透」
予想はついていたが、そこにいたのは透だった。
女子の部屋しかないこの3階には男子は立ち入り禁止となっている。
「見つかってないんだから、気にしない!それよりどっかでかけようぜ」
へらへらと笑いながら小声で誘われるが、私は眉をひそめて普通の大きさの声で返した。
「いや、私が気にするんだけど。部活は?」
さっきの時計では午後2時を指していたはず。
今日は他校初めてのと練習試合だとか言ってなかったっけ?
なんでこの時間に普通にここにいるんだ。
「ああ、ぼろ負けすぎて、みんなやる気なくしちゃって。
これ以上やったら部員いなくなるなって思って午前中だけで終わらせてきた」
けろっとした様子で答える透にあきれ返る。
「初めてなんだから、それが当たり前でしょ。
試合じゃなくても練習とかしてくればよかったのに」
「まあこの俺は1点決めてきたんだけどな。
だって最近俺らまじで頑張って来たし、ここらで一息入れるべきでしょ。
っつーことで俺の息抜きに付き合って?」
1点決めたとは驚きだ。
まあ自分でもよく言ってるけど、透は要領だけはいいから大抵のことは余裕の表情でこなすし、サッカーに関してもコツさえつかめば簡単にできてしまうんだろう。
本気になればけっこういい選手になれるのかもしれない。
だけど、それとこれとは別の話だ。
透の息抜きにわざわざ私が付き合ってあげる義理はない。
「それはおめでと。けど、私は課題あるから無理」
簡潔にそれだけ伝えてドアを閉めようとするけど、当たり前だが透は引き下がらない。
私が閉めようとしたドアの隙間に無理やり手をねじ込んで力で閉めさせない。
「由姫も最近気張りすぎてんだろ。そろそろ休憩挟もーよ」
私の部屋の中の机に広がる教科書や参考書たちにちらりと目を向けそう言い張る。