(完)嘘で溢れた恋に涙する
「そんなこと言われても…」


しょうもない話とは何も考えずに話すからできるものなんじゃないか。


そんな風に言われて、即座にできるはずがない。


困り果てていると、陸玖はクスッと笑った。


「由姫学校楽しい?」


「う、うん。って言っても勉強ばっかだけど」


「特進科だもんな。勉強楽しい?」


「別に好きではないけど、理解できたりしたら楽しいよ」


「ふーん。じゃあ今度俺に教えてよ」


「何言ってんの。陸玖は何もしなくったってさらっとできちゃうじゃん。テストもいつも1位だったし」


「高校いったら全くだって。部活で勉強する暇ねえし」


「部活忙しいんだよね」


「忙しいけど、楽しいから平気」


「スタメンなんでしょ?」


「まあな。でも他のメンバーについてくだけで精いっぱい」


「でも中学校の時はサッカー部もなかったのにレギュラーに選ばれて、陸玖はどんどん成長しててさ、ほんとすごいよ私なんてまた体育祭で熱中症になって倒れたし」


「また?懐かしいな。お前あの時まじで顔死にそうだったわ」


「思い出さないでよ。本当恥ずかしかったんだから」


「今年は誰か俺みたいに気づいてくれたか?」


「ううん。誰も気づいてくれなくて死に物狂いで1人で保健室に行った」


「まじか。頑張ったな。俺がいたらよかったのにな?」


「確かにね。あの時は陸玖だけが気づいてくれて本当助かったもん」


「お前は本当に体弱っちいもんな」


「これでも強くなろうと思ってるんだけどね。なかなかうまくいかない」


「勉強のしすぎじゃね?何か部活はいればいいじゃん」


「今更?こんな運動音痴どこも欲しがらないよ」


「せめてマネージャーとか」


「本当はバドミントン部のマネージャーになりたかったの。でも遅かった」


「ハハ、鈍くさい奴」


「わかってるよ」


「美結の運動神経の10分の1でもあればまだよかったのにな」


「10分の1って。さすがにそれくらいはすでにあるでしょ」


「いやないだろ。由姫の運動神経は無いに等しい」


「言い過ぎ。酷すぎ」


「ふっ、本当のことだろ」


「そこまでないもん」


「ごめんごめん、すねるなよ」



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