(完)嘘で溢れた恋に涙する
目の前の陸玖の顔が徐々にぼやけ、瞳が熱を帯び始める。


温かいものが頬を伝い落ち、唇に触れる。


しょっぱい冷たさを感じる。


とめたくてもとまってくれない。


顎に触れていた陸玖の手が離れ、頬をそっとなでる。


「なんで泣いてんの?」


はっきりとしない陸玖の顔つきが、悲しそうに見えるのはなぜだろう。


「陸玖といたら、本当の気持ち言いたくなる。
楽になりたくなる。
今までのこと全部忘れちゃいそうになる」


ああ、何を言っているんだろう。


こんなこと…


それでも、私の口はとまらず喋り続ける。


「どうしてなの…
どうしてよっ」





「どうして私は加害者家族で、陸玖は被害者家族なのっ…」





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