(完)嘘で溢れた恋に涙する
奥に戻っていくおばさんにみんながありがとうございますと声をかける。



「よっしゃ、さっさと終わらせて行こうぜ!」



理玖がぽんっと私の肩に手を置いて笑った。



「クラスみんな来るけん!絶対楽しかよ!」



「そうそう!さっ行こ行こ」



みんなが庭に出てしゃがみ込んで、笑いながら草をむしっていく。



なんでこんなによくしてくれるの?



驚きすぎて足が動かない。



「由姫?なんで泣いてんだよ」



いつのまにか涙が頬を伝っていた。



優しさが心にそのまま染み込んで、涙は止まることなく溢れ出す。



ああ、もうダメだ。



もう二度と泣かないってあの日決めたのに。



どうして、ほっといてくれないの。



そんな風にされると、もういいんじゃないかって考えちゃうんだ。



もう人並みの生活を送ってもいいんじゃないかって自分に甘くなってしまうんだ。



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