(完)嘘で溢れた恋に涙する
不安になって肩を叩こうとすると、すぐに美結はいつもと同じ笑顔を浮かべた。



「よし、ここは終わり!違うとこやろ!」



私はその笑顔に安心して、何も聞かずに頷いてしまった。




しばらく黙々と作業が続き、1時間ほどだった時には庭一面が綺麗になっていた。



やっぱり大人数だから、作業時間が早い。



「そろそろよくね?」



「ああ、草この辺に寄せとこうぜ」



「りょうかーい」



理玖の提案に合わせて、みんなで所々にに積もっていた一所に並べた。



みんなは汗をぬぐいながら、談笑している。



嫌な顔一つせずに。



「じゃあ、行くかー!」



理玖がそう言ってみんなの視線がこっちに集中した時、私は勢いよく頭を下げた。



ありがとうって言葉にすることができないから、せめて態度で示そう。



「なっ、由姫なんばしよっと!」



「そうそう、早よ頭ばあげんね!」



「俺ら草むしり得意やし、こんなん全然大丈夫ばい」



「俺なんて昨日1日中母ちゃんに草むしりさせられたしなあ、あのクソババア」



「それはお前がまだ夏休みの宿題出さんで、遊びまくりやった罰やろうもん」



慌てるみんなの声が聞こえてきて、心がポカポカする。



ゆっくり頭をあげたけど、おかしくなって笑ってしまった。



笑いはみんなに感染し、馬鹿みたいにみんなで笑い転げた。




神さまどうか許してください。



あの日自分でした約束を、縛りを、解いてしまうこと。



あと、ほんの少しだけでいい。



幸せな生活を許してください。





< 65 / 381 >

この作品をシェア

pagetop