(完)嘘で溢れた恋に涙する
頷いて笑い返したけど、美結はさっきと打って変わって渋い顔をしていた。



「違った…1人おったんやった」



「は?草むしり?こいつの家で?なんで?なんの義理があってそんなせんといかんわけ?こっちは暑い中待たされとったとけど」



聖奈ちゃんだ。



明らかに怒っている。



でもこれが普通の反応なんだ。



「ごめんね、うちらこういうのってクラス全員でするみたいな伝統?みたいなのがあってさ、聖奈もくるっちゃんね…
気にせんでよかよ」



美結が更に小声でそう話す。



そして、聖奈ちゃんに言い返す。



「聖奈!楽しか雰囲気ばぶち壊さんで。
みんなで仲良くやろうさ」



「何いい子ぶっとると?あんただって!」



「へいへい、そこまで!行くぞー!」



聖奈ちゃんの言葉を遮って、陸玖の声が響いた。



そして、火花が吹き出すあの独特な音が聞こえた。



理玖たち数人の男子がすでに花火を持って遊んでいる。



その光景を見て、他のメンバーも次々に花火を取って火をつけ始める。



美結も駆けて行き、聖奈ちゃんも不満そうにゆっくり歩いて行った。



聖奈ちゃんは最後なんて言いかけたんだろう。



それが少し気になる。




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