(完)嘘で溢れた恋に涙する
しばらくそこでぼーっとしたまま時間が過ぎていた。



「由姫!」



みんなの中から抜け出してきたのは理玖だった。



「これやろうぜ」



そう言って笑う理玖は線香花火を二本と、火のついたろうそくを持っていた。



私の隣に腰掛けて、一本を私に渡して、ろうそくの火をくれた。



2人でパチパチと静かに光る線香花火の先を見つめる。



「楽しかったか?」



そう聞かれて私は何度も頭を縦にふる。



「それならよかった」



ニコニコと笑う陸玖を見て胸が締め付けられるような気分になる。



「由姫、俺はさ、本当にお前が好きだよ」



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