(完)嘘で溢れた恋に涙する
「あ、さっきの男子は城島理玖(リク)っていうと!
小6の時に東京から転校してきて、島の男子とはなんか雰囲気違うからさ〜、もうモテモテ!
うちは興味はないけどね!」
美結ちゃんは、笑顔のまま、すでに離れて行ってしまったあの男の子を紹介してくれた。
だけど私は彼の名前を聞いた瞬間、そのあとの言葉はもう何も入ってこなかった。
きしま…りく
頭の中でその名前を繰り返す。
いつの間にか手足が震えて、頭が重くなり、脳内をその名前だけが占領してゆく。
ありえない、絶対ありえない。
そう思いたくて、自分に言い聞かせるけど震えは止まることはない。
「あれ、由姫ちゃん?
理玖ーーー!
こっち来なよ!」
様子がおかしい私に不思議そうな目を向けながらも、大声でその名前を呼ぶ美結ちゃん。
名前を呼ばれた本人が面倒くさそうに歩いてくる。
「ほら!自己紹介しなよ〜〜〜!
まあ、うちがさっきだいたい言っちゃったけど…」
「何勝手に俺の紹介までしてんだよ。
あ、俺、城島理玖…」
苦笑いしながら話し出して、私の顔を見た瞬間、声が途切れた。
その動きを止めた相手の顔を控えめながらもじっくり眺めて、私は確信を持った。
なんて最悪な出会いだろう。
こんなことが起きるなんて夢にも思わなかった。
小6の時に東京から転校してきて、島の男子とはなんか雰囲気違うからさ〜、もうモテモテ!
うちは興味はないけどね!」
美結ちゃんは、笑顔のまま、すでに離れて行ってしまったあの男の子を紹介してくれた。
だけど私は彼の名前を聞いた瞬間、そのあとの言葉はもう何も入ってこなかった。
きしま…りく
頭の中でその名前を繰り返す。
いつの間にか手足が震えて、頭が重くなり、脳内をその名前だけが占領してゆく。
ありえない、絶対ありえない。
そう思いたくて、自分に言い聞かせるけど震えは止まることはない。
「あれ、由姫ちゃん?
理玖ーーー!
こっち来なよ!」
様子がおかしい私に不思議そうな目を向けながらも、大声でその名前を呼ぶ美結ちゃん。
名前を呼ばれた本人が面倒くさそうに歩いてくる。
「ほら!自己紹介しなよ〜〜〜!
まあ、うちがさっきだいたい言っちゃったけど…」
「何勝手に俺の紹介までしてんだよ。
あ、俺、城島理玖…」
苦笑いしながら話し出して、私の顔を見た瞬間、声が途切れた。
その動きを止めた相手の顔を控えめながらもじっくり眺めて、私は確信を持った。
なんて最悪な出会いだろう。
こんなことが起きるなんて夢にも思わなかった。