(完)嘘で溢れた恋に涙する
「ちょっと〜〜どうしたと？
2人して固まってからさあ、
あっ、まさかの一目惚れとか〜〜〜？」



事情を知らない美結ちゃんがケラケラ笑いながら楽しそうにそう言った。



一目惚れなんて、普通なら心躍らせるような単語も空虚に満ちて、哀しく聞こえる。


何か言わなきゃ。


でも何を言えばいいの。


すみませんも許してくださいも、謝罪の言葉は彼にとって何の救いにもならないだろう。


焦りで冷汗が止まらない。



目の前にいる城島くんの何の感情も見当たらないその目を見つめていると、彼は急にニカッと歯を見せて笑った。



「いや、俺本気で一目惚れしてしまったかもしんない」


え？



「は？本気でいってんの？
馬鹿やない？あんたが由姫ちゃんに相手されるわけないやろ！」



「なんでだよ」



私の前で大騒ぎする2人、私は呆然と立ち尽くす。



まさか気づいていないの？



それとも私の勘違い？



そんなはずはない。
名前も顔も全く一緒なんてあるわけない。



じゃあ、本当に私のこと知らないってこと？



でもそれならあの間は何だったの？


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