(完)嘘で溢れた恋に涙する
理玖は喜んでくれるかと簡単に考えていたけど、理玖は長い間押し黙っていた。



それでも歩く足の速度は止まらず、それどころかだんだんスピードは上がっていくような気がする。



不安になって、必死でその後ろを追いかける。



沈黙に耐えきれず、思わず理玖のTシャツの裾を握ってしまった。



気づいた理玖が急に立ち止まって、その背中に鼻をぶつけてしまった。




ゆっくり理玖が振り向いて、問いかけてきた。




「今、幸せなのか?」



理玖が口を聞いてくれたことが嬉しくて、力強く頷いた。





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