透明人間の色




明るかった外は、少しずつ暗くなっていった。


私は本日最後にして、目的の場所に向かうことにする。


「ねぇ、最期に美術展行きたい」


「は?んなもん、一人で行けよ」

「私の作品が飾られている。達也に見てもらいたい」

おかしなテンションに突入しかけていた私は、達也の腕にもたれてみる。

罪悪感なんて、今日の午前のうちに上限を越えて、ここまで来るとバカらしくなっていた。

「仕方ねえな」

達也はそう言うけど、なんだか嬉しそう。


でも、それは当たり前だ。

達也は私とずっとこういう時間を過ごしてみたかったはずから。


このぬるま湯のような日々が続けばいいのに。


なんて、一生言えないことだった。



「達也?」

「ん?」


「楓は好き?」


「まあな。いい奴だろ?お前もそう思ったから友達になったんだろ?」

「うん。そうだね」

「なんだよ。嫉妬か?」

「どうかな」

「なっ、否定しろよ。照れるだろっ」


終わりが近づいてくる。


怖い。嫌だ。やめたい。まだ、引き返せる。





笹本達也。
私を最初に拾ってくれた人。


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