透明人間の色
「俺に感想求めんなよ。絵のことなんて分かんねえからな」
絵を見る前に先手を打とうとする達也に私は笑う。
「意味ない」
「んなこと、言われたって」
「じゃあさ、代わりに質問に答えてよ。イエス、ノーでいい質問だから」
「意地悪な質問すんじゃねえぞ」
「うん」
私は頷いた。
とっても意地悪な質問を、私はこれからするんだと思う。
「ほら、これ」
目の前の作品を私は指差した。
「窓?」
「正解だよ」
「なんで窓なんだよ?」
「なんとなく?」
「ふーん。まあ、どうでもいいけど。なんか窓の外は妙に綺麗だな。なんつーか、カラフルで」
「達也、分かるんだ………」
「なっ、なんとなくだけどな」
「いや、窓の外の景色はさ、私の絶対的正義がモデルなの」
「絶対的正義?」
「うん」
私は終わりを告げた。
「今日は、その絶対的正義の話をしようかと思って」