透明人間の色
「俺、寝てていい?」
「ダメ」
「道徳とか苦手なんだよ」
「道徳じゃない。私の中の達也の話」
「へ?」
「絶対的正義、達也くんについて私は語りたいの」
「なんだよ、急に」
「でね、これを達也が聞いた後、一つ、イエスノークエスチョンがある」
「は?」
私は息を吸う。
本当は叶わないことなんて言いたくないけど、仕方がない。
「その質問に達也が答えるなら、私は達也と付き合いたい」
こんな叶わない願望、汚れた願望、私は言いたくなんてなかったよ。
ほら、何も知らない達也は笑ってるんだ。
いつもそう。
この関係に終わりがあるなんて、多分微塵も思ったことがないんだね。
「なんだよ。めんどくさいな。………あーもう、聞いてやるよ。道徳とかじゃないんだったらな」
「ありがとう」
私も笑おう。
私に涙はいらない。