透明人間の色
「達也は私を好きになったの、いつだか覚えてる?」
「は?んなもん言うかよ」
「どうしても?」
「………お前はどうなんだよ」
「さあ。何回も好きになったから」
「お前はっ………さらっとそんなこっ恥ずかしいこと言うなよ」
赤面している達也の顔は、高校生になっても可愛い。
その顔を歪めるなんて、私は罪な人間だ。
それでも、私は覚悟を決めて告げた。
「でもね、好きになった回数と同じくらい、私は達也のことが嫌になった」
ひきつった達也の笑顔。
ごめんね。でも、私は達也に知られないように必死だっただけで、本当はこんな嫌なやつなんだよ。
「達也と自分を比べて、勝手に劣等感を覚えてたの」
「………んなことする必要ねぇよ。美香は美香の良いところがある」
「本当にそう思ってる?」
「思ってる」
即答する達也に私は笑った。
「たとえば?」