透明人間の色
「めんどくさいな。たとえば、あれだよ。お前がグループ学習で同じ班の子がみんな使えないやつでさ、お前は普段何も話したことないやつらだったのに、そいつら仕切って成功させた時とか」
予想外の答えに私は息がつまった。
「そんなの、私も忘れてた」
「そうか?あれは結構惚れ直した」
「…どーも」
私は達也の赤面グセが移ったかのように、真っ赤になった。
達也こそ、恥ずかしげもなくそんなこと言わないでほしい。
それにそんな自分らしくないことをしたのだって、私が偽善者だからにすぎないのだろう。
あの頃の私はヒーローに憧れていた偽善者だった。
私もヒーローになれると、そうしたら達也の隣に堂々と居てもいいのだと、無邪気に信じていた。
でも、あの夏祭の日の後、私はそれを信じれなくなっていた。
「じゃあさ、私の両親が事故で死んじゃった日、覚えてる?」
「ああ。あれは忘れられないな」