透明人間の色
「花」
「わっ、どうしたの?」
「あと何分開いてる?」
「えっと十五分くらいかな」
「そっか。ありがとう」
きっともう霧蒼は来ない。
私は独りで霧蒼に見せるはずだった絵を見に行った。
「ジャジャーン」
それはもう一人の私の正義。
達也に見せた窓の絵の対となる絵だ。
「解説しまーす」
声は返らない。
独り、独り、独り。
それはとても残酷な自由。
「聞いてよー、霧蒼」
思わず私は叫んだ。
淋しくて、淋しくて仕方がなかったから。
『なに?』
その時、ついに頭がおかしくなったのか幻聴が聞こえた。
『早くしてよ』