透明人間の色




私の様子にはお構いなしにそう言う霧蒼の声。

あぁ。
目頭が熱い。



「こっちの台詞っ。ずっと、ずっと待ってたん、だから!」



『知ってる』

静かな声だ。
必死なこっちがバカらしくなる。

私は呟いた。

「酷い」

『あんたよりはマシだよ』

その言葉に私は息を呑む。


「全部聞いてたの………?」


私の質問に霧蒼の声は答えなかった。


私は歪んだ視界のまま、恐らくとても醜く笑った。


「聞いてたんだ」


『まあね』

「………ねぇ、どこ?出てきて」

『無理だよ。僕もここがどこか分からないからね』

「何それ」

『見えるのは、真っ青な世界に一枚だけ窓があって、その窓の向こうはとてもゴチャゴチャしてるってこと』

「は?」

『あー、うん。何でもない』





「___絵の中にいるの?」




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