透明人間の色
そう結論づけて、運転しながら俺は二件メールを送信した。
いつからだろう。美香の全てを把握しておかないと気がすまなくなった。もはや、これは病気だ。
しかし、病気を別にしたって、今回のことはよく調べるべきだ。
霧蒼。
あの少年はどこまでこっちのことを掴んでいるのだろう。
恐らく俺が東城美香の遠い親戚でもなんでもないことは分かっているはずだ。そんなの調べれば五秒で分かる。
俺がただの塾講師なんかじゃないことも知ってるはずだ。
あのマンションがなんであるかも。
もしかしたら、俺が紫であることも勘づかれているかもしれない。
霧蒼の目には美香が特別に見えているのだろう。仕方のないことだ。
もう六年も前に俺が経験している。
「晶人さん」
不意をつく美香の呼びかけで、俺は我に返る。美香の方を見ると、何だか一生懸命な顔をしていた。
「ん?」
出来るだけ優しく微笑んでみせる。
「あのね」
「うん」
「明日、用事が済んだら晶人さんに会いに行くから」