透明人間の色
そう言った時の美香の顔は綺麗だった。
また、彼女はきっと何かを選択しているのだろう。
俺には彼女に証明して欲しいものがあった。
でも、彼女がそんな顔をしている限りは、無理な話だ。
でも、時々思う。
俺は本当に彼女のこの綺麗な顔を壊してまで、証明して欲しいのか、欲しくないのか。
もちろん、彼女が必死になればなるほど、きっと俺とは敵対することになる。
彼女と対峙している夢は、もう嫌になるほど見ている。
そう考えた時に、ふと思った。
霧蒼は彼女にどっちを期待してるんだろう?
まあ、どうでもいいことだった。
どっちにしても俺は笑うだろう。
「待ってるよ」
彼女の選択なら、無条件で俺は受け入れる。
たとえ、敵同士になったとしても。
「うん、待ってて」
彼女が俺のもとに帰らなかったとしても。
たぶん、全力で奪い取るだけだから。