透明人間の色




美香からのメールを貰った時、私は飛び上がった。


“行くっ!”


即座にそう返したメールに返信はない。でも、まあそれが美香だ。

それにしても嬉しすぎる。スーパーで買ったかき氷を食べながら、私は無意識に鼻歌を歌っていた。

だって、前のメールで“秋限定”って送ってきたのに。
夏休みに会えるなんて、全く思ってなかった。

「なに着てこうかな~?」

ワクワクしながら、私はあれこれ服を吟味する。なんだか、男の子とデートする女の子みたいだ。

ただの友達なのに。

いや、少なくともただの友達なんかではない。



私にとって美香は全てだ。

アイスクリームと同じくらいこの世になくてはならないもの。



「って、どこ行くんだろう?」


ピローン

「わっ、聞いてたのかな?」


“この前のアイスクリーム屋さん集合”


必要最低限しか打たれていないメール。



美香はどんな格好で来るんだろう。

というか、達也くんとのデートどうなったんだろう。

やっと、付き合うのかな?


まあ、それは明日会えるのだから明日聞けばいいか。


美香が業務連絡以外は携帯でしたくないのは知っている。





その証拠に業務連絡以外でメールで来たのは、“秋限定”だけなのだ。


< 137 / 248 >

この作品をシェア

pagetop