透明人間の色
「何時に行くって……」
美香がそんなこと聞くのに驚いて、返信に戸惑った。
美香は自分の都合でそういうのは全部決めてしまうのに。
私はそんなことには不満を持ったことがない。
私が美香の都合に合わせられないことなんてないから。
「えっと………じゃあ開店する十時?いや、十時半かな?」
というか、この間みたいに達也くん来るのかな。
だとすると、部活はどうなんだ?
「うっ……達也くんに電話してみよう」
美香に聞けばいいとも思うのだが、こんなことは初めてで動揺していた。
それに達也くんに美香と付き合ったかついでに聞いてみようとも思っていた。
達也くんと美香が付き合うのは多分喜ぶべきことだ。
でも、美香が達也くんと一緒に過ごす間、私は一人でかき氷を食べるのだろう。
それはなんだか寂しい。
友達は多くなくていい。
でも、その少ない___いや、ただ一人の友達をたとえ彼氏であろうと、盗られるのは寂しい。