透明人間の色
一生。
聞き間違えかと思った。
「えっと、ごめん。よく聞こえなかった」
『二度も言わせんな。何聞きたいか知らねーけど、今日美香にこっぴどくフラれてんだよ』
「えっ………」
美香に達也くんがフラれた?
それはとても信じられないことだった。
二人はどう思ってたかなんて分からないけれど、私には美香と達也くんの仲はとても自然で、入り込めないような特別な空間だといつも感じていた。
言うなればそれは疎外感だ。
二人の会話は楽しいし、二人とも大好きだけど、たまに自分はここに居てはいけないのではないかと、二人と過ごせば過ごすほど感じていた。
自分は二人の邪魔でしかないのではないかと、そう考えずにはいられなかったのだ。
それがどうだ。
達也くんはフラれた。
息苦しくなった。
心のどこかでそうなることを望んでいた自分が汚すぎて。
『あん?泣いてんの?』