透明人間の色




明日私が美香に会って、達也くんが損することって何?


もしかして嫌われちゃったかな。

そうだよね。いきなり気を遣ったのに怒鳴られて、嫌にならないはずがない。


でも、無理だよ。

私には美香しかいないんだもん。


美香と友達止めろとかそんなの絶対無理。達也くんは友達たくさんいるけど、私は違う。


だから、私は無意識のうちに美香のメールに答えていた。


“朝五時から!”


たぶんこの時は意地になっていた。
こんなメール送っても美香が困るだけなのに。


本物のいい子の達也くんに反抗したくて。


だけど、メールは思ったよりずっと早く返ってきた。


“了解”


「えっ?」

どうしよう。
アイスクリーム屋さんはそんな時間からはやってない。


「アイスクリーム、食べなくてもいいってこと………?」


分からない。

だけど、明日美香と会うということだけ決まってしまえば、楽だった。

この罪悪感を消すために、明日美香にこんこんと教えてあげればいい。本当は美香がどんなに達也くんのことを好きかってこと。



こんな罪悪感に襲われるなら、いい子のフリして二人をくっつけて、一人寂しいヒロインをきどる方がいい。



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