透明人間の色
気がつけば五時まであと三十分になっていた。
バックをつかんで、財布があることを確認して家を出る。
朝五時の外は夏にしては心地よい。
太陽が暖かいと思える。私はゆっくり二十分かけてあのアイスクリーム屋さんに向かった。
予想していたことだけど、アイスクリーム屋さんが見えると同時にその店の前に立つ人影を見つけた。
美香だ。
私は早足に美香に近づいていった。それが分かったのか、美香が軽く手を振ってくる。
嬉しくって、駆け出した。
昨日が昨日だっただけに、私の胸にできた小さなくぼみが、美香を求めていた。
「美香っ!」
飛びつくと美香は私を支えた。
私はそのまま顔を美香にスリスリしてから、美香を見た。
「随分な歓迎ぶり」
苦笑いの美香が私と目があってそう言う。
私はその変わらない表情に知らず知らずに安心を覚えていた。
「だって、夏休みは遊べないと思ってた」
「なんで?」
「だって、“秋限定”って送ってきたでしょ?」
「あー、達也に教えてもらったの?」
達也という言葉に、私の心臓がドクンと跳ねた。