透明人間の色
昨日枯らした涙が嘘のように溢れてくる。そんな私を歪んだ笑顔のまま見る美香。
「嫌だ。嫌だよ。なんで……?」
私がそうすがっても、美香はその表情を崩さずに、ただ首を横に振る。
「なんでっ!なんでなの………?」
美香と友達をやめる。
それがどんなに苦しいことか。
昨日の苦しさとかがまるで何でもないことみたいに感じる。
ああ、どこで私は間違ってしまったんだろう?
時間を巻き戻したい。もう、あのメールをもらった時でいいから戻りたい。
達也くんのメールがぐるぐると頭を駆け巡った。
“美香に明日誘われてるんだったら、行くな”
なんで、この言葉に従わなかったんだろう。
ヒントはたくさんあった。
例えば、達也くんが掠れた声で紡いだ弱音。
“___もう、一生会わないかもしれない”
でも、私はそれを聞き流した。
そんな聞いたこともない弱った達也くんの声を、他人事だと決めつけて。
けど、それはとんだ大間違いだ。
美香が達也くんを手放すのを決意したなら、私と友達やめるのなんか苦でもなんでもない。
私は大バカ者だ。
達也くんが自分の感情にまかせて、意地悪を言うはずがなかったのに。
なんで、信じてあげられなかったんだろう?
それどころか、悪者扱いなんかして。
なんで、私はこんなにも汚いんだろう?