透明人間の色
その答えに瞠目するしかなかった。
全く。
この大人にも子供にもなりきれないのだから質が悪い。
では、どうして東城美香に惚れたのか。
自分には決してないだろうものに惹かれて、好きになったんだろうが。
しかし、この主は自分が惚れた腫れたの話の肴になるなどごめんだろう。
まして、自分が女の子を好きになるなど、そんなことは何を言っても認めまい。
けど、自分はもう確信している。
さっきの場面を見て、本当に興味がなくなったなら、主の東城美香に対しての気持ちは、ただの期待だったのだと思えた。
だが、今こんなにも主の頭の中を独占しているのは彼女だけだ。
それを恋と言わずになんと言おうか。
「ご自分だけが正しいと信じられたなら、あの場に行こうなんて思わなかったでしょうに」