透明人間の色
そう。
例えば、このクソみたいな世界で、こうして大人のようでガキな主を乗せて車を走らせている自分はそう悪くはない。
思えば、忘れていただけで、自分が拾われたのも主の気まぐれだった。
でも、それが自分にとっては奇跡で。
それでいいんだと思う。
「さあ、着きました。仕事です」
たとえ、ここでこのクソ主が正義ごっこ辞めたいと言っても、
彼女に魅せられてそのまま逃げても、
結果、紫とかに目をつけられても、
………そのせいで自分が死ぬ目にあっても、
結局、自分の世界はそんな悪くないと思えるほどには、どうせ自分は主の犬なんだ。