透明人間の色
僕の見た限り、小野楓はオシャレでスイーツに目がない典型的な女子高生だ。
まあ、容姿は少しだけ周りより恵まれていた方なんだと思う。小野楓自身も心のどこかでそう考えていたに違いない。
別に、それはよかった。そんなのそこら辺にゴロゴロいる。
けど、小野楓はそこまで頭もよくないのに八方美人過ぎた。
誰の顔を見てもニコニコして、誰かに嫌なことがあれば同情した。
実際、誰がどんな大変なことに巻き込まれたところで小野楓には関係なかったのだろう。
全部どーでもいいことだから、全てに対して平等にリアクションできる。
それが小野楓の生き方だった。
でも、多感な女子高校生たちは時々悪口だって言いたくなる。
あっちにもこっちにも良い顔していたら、立場に矛盾が生じてくるのは自然なことだった。
しかも、顔が少し良いから男にはモテるときたら__。
結果、小野楓はどこのグループからもはみ出てしまった。
中学生の時にそうならなかったのだったとしたら、それはとても奇跡的だと思う。
とにかく、小野楓が一人になったのは高校一年の夏の終わりくらいだった。
それを、東城美香は救った。
理由はどうであれ、一度は救った。
あの時生まれた僕の感情は、きっと誰にも分からない。