透明人間の色



そして、笹本達也もあの日東城美香が放った言葉を断片的に思い出す。


「俺も、か」


「えー?達也くんとは一緒に居たいって思ってたと思うよ」


「今、結果一緒に居ないんだったら同じなんだよ」


「………そっか」


二人は一時間もの間、東城美香の悪口を言いまくっていたが、それは裏返せば東城美香が大好きだと言ってるようなものだった。


大好き、が空回りする。
それは今までの二人になかったことだった。


喧嘩でもなければ

嫌いになったわけでもない。


だから、たぶん。



仲直りは、出来ない。



もう、東城美香は一緒に居たいと思ってくれない。



“どんなに好きでも“

あの日東城美香が笹本達也に言い放った言葉の意味は、こんなにも理解し難い。


そんなこと、理解してたまるか。


何度そう思ったか知らないけど、二人と東城美香を繋いでいるのは、多分クラスメートということだけで。


東城美香が学校に来るのかさえ、二人には分からなかった。

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