透明人間の色




「偶然だね。達也くん?」


座る二人の間に無理矢理座って、晶人と呼ばれた男は何でもない顔をしてそう聞く。


「本当に」

そう言いつつ苦虫を噛んだような表情の笹本達也に、事情をどうにも飲み込めない小野楓がオロオロする。


その様子にクスリと笑った晶人は、達也にからかうような視線を向けた。


「彼女?」

「違います」



「だろうね」

笹本達也の即答に、さも面白そうにコロコロ笑う男。


その様子に小野楓もこの人物に疑問を持ち始めた。


「そう思うなら、そんな質問しないでください」

不機嫌さをます笹本達也。



それに止めを刺すように晶人という男は言った。



「一応、さ。ほら、美香ちゃんにフラれて自棄を起こしてる可能性も捨てきれないと思わない?」



その言葉は本当に楽しそうな声で、憎らしい響きだった。



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