透明人間の色
紫はなれた様子で事を着々と進めていく。紫の側で動いているのは、年端もいかない少年少女に見えた。
そのなかに東城美香はいなかったけれど、東城も紫にとってはそういう存在だったのだろうか。
紫に付き従う、その他大勢のその一人に過ぎなかったんだろうか。
紫はあの人にが直接拾った最初で最後の人間だ。今もあの人の右腕でこうして作戦は最終段階へと突き進んでいる。
あの人と東城美香、紫にとっては比べるまでもなかったのだろうか。それはそうだ。東城美香を選ぶならここにはいない。
今日が東城美香との決別の日となってもいいから、ここにいるのだ。
そう紫を眺めながら結論づけたところで、サイバー班とのビデオ通話が整えられた。
どうせ、業務連絡。必要ないとは思うが紫に促されたので仕方なく座る。
しかし、画面を見た瞬間僕は驚き固まった。
「………と、うじょ」
そこには冷たい目をした東城美香が映っていたのだ。
もし、ここでもう少し僕に余裕があったなら、紫が瞠目しているのが分かっただろう。